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2009年09月30日

背水の陣について

昨日は兵法について少し述べましたが、本日はもう少し述べたいと思います。
よく失敗をしたり悪い成績に陥った部隊を率いるお偉いさんが「背水の陣で頑張っていきます。」なんてしゃあしゃあと言っている場面を聞きます。

現在、背水の陣とは「追い詰められた状態」とか「絶体絶命の立場」といった意味で用いられますが、そもそも背水の陣とはそういう物ではないのです。

古来背水の陣を使った武将としてぱっと思いつくだけでも白起、項籍、韓信・・・。

一番有名なのは韓信ですね。

後に井ケイ(単漢字にはありますが表記されません)の戦いと呼ばれる漢軍と趙軍の戦いにおいて背水の陣は使われました。

趙軍20万(30万とも)言われる軍に対し、漢軍2万(3万とも)の軍が戦を挑み勝利をしたのですが、その漢軍を率いたのが韓信です。

韓信は事前に自軍の内2000の兵を裂き漢軍の旗を多く持たせます。
その部隊に間道を通って趙軍が籠る城の背後へ回らせておき、趙軍が出陣した後に城を取るように指示をします。

韓信は本体を率い趙軍が籠る城の前面に流れる川を背に布陣します。

兵法の常識としては「山を前に布陣してはいけない、川を背にして布陣してはいけない。」となるわけですが、理由としては山を前に布陣すると山上に布陣した敵軍が攻めかかってくる際に逆落としに攻めてくることになるので勢いづいた敵軍に押されてしまう。また、川を背に布陣すると自軍が劣勢になった際に退却しようにも川が邪魔で速やかな退却ができない為、川を背にして布陣してはいけない訳です。

そんな漢軍の布陣をみて趙軍は「韓信は兵法を知らぬ」として一気に城から出て漢軍に襲いかかったのですが、漢軍は引くことはできない状況の為、必死に戦い、趙軍を押し気味に戦闘を展開します。

そうこうしている内に趙軍の背後で、漢軍の別動隊が城を落とし、漢軍の多くの旗を城に掲げられているのを見た趙軍が「漢軍には別動隊の援軍があった」と思い大混乱に陥り、敗走することになります。
これが一番有名な背水の陣ですね。

この背水の陣のポイントは、
 1.川を背布陣をして自軍を侮らせ、敵を城からおびき出す。
 2.川を背にした自軍は追い詰められた状態になり必死に奮戦する。
 3.別動隊が城を取ることにより敵軍を混乱させる。

上記3点になります。

どんな大軍でも大混乱に陥った場合(いわゆる烏合の衆ですね)、体系だって動く軍にはかないません。

この戦いは約10倍の相手に対して勝利した訳ですが別に全ての敵兵を殺したわけではありません。
要は敗走させたのです。
これが兵法なのですが、最後の最後まで戦い抜くサドンデスマッチであれば、どんな戦法を使おうと少ない方が負けるのです。
少ない兵力で大軍に勝利するにはいかに自軍が勝ったという状態を作り出すかという事になります。

話を元に戻しますが、要は背水の陣とは必勝の陣形なのです。
と言いますか、必勝の策を併せ持った陣形というべきでしょうか・・・。

こういうことを知っているとしゃあしゃあと「背水の陣で事にいどみたいと思います。」なんて言えないと思うのですが・・・。

ちなみに、背水の陣を兵法書の言葉で説明すると孫子の兵法九地篇にある「これを死地に陥れて然る後に生く」という兵法の応用です。

要は追い詰めていつも以上の力を出させる訳ですが、日本のことわざに当てはめると「追い詰められた鼠は猫をも咬む」ということになります。

世界的不況の昨今、企業では上層部の方々からガンガン攻められて追い詰められている方々が多いと思いますが、あまり効果がないのでやめた方がいいと思います。

確かにガンガン言われて追い詰められればいつも以上の力を発揮するかもしれませんが、それが慢性的になると力を発揮するどころか普段の力も発揮しなくなります。

追い詰め続けられた鼠は猫を咬まないのです。
逆に委縮します。

結局名将達が戦争に勝つ為に一番気を使ってきたことは部隊の士気を高めることと、高めた士気を維持することなんです。

ついついガンガン言ってしまうのは理解しますが、もう一歩引いて考えて、士気を高めるように努力する方が得策だと思われます。

人を使うのは難しいですね。


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ラベル:兵法
posted by たか at 15:55| Comment(0) | 兵法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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